4ステップで解説する、ハラル認証取得のための基礎知識

日本でも有名となってきたハラル認証。

世界に広がるイスラム市場と取引をする際には必須となってくるハラル認証ですが、今回のページでは、あえて「かなり厳しい分類」と言われるマレーシアでハラルを取得する場合を例に、どのように申請をするのか?ハラル認証の申請に必要な手順をまとめてお届けいたします。

 

ステップ1:そもそもハラル認証とは何か

ハラル制度というのはイスラム教義に従って食品などの規格を管理する制度です。

似たようなものにハラム、シュブハというものもあり、

ハラム:                 禁止されるもの。口にしてはならない。

シュブハ:              疑わしいもの。避けたほうが望ましい。

ハラル:                 許可されるもの。口にしてもしなくても良い。

といった違いがあります。

 

具体的には、有名なものであれば豚肉やアルコールなどがありますが、

では牛や鶏はOKかというと、育成や保管の状態次第でハラムとされる場合もあります。

そのもの単体が許可されているかどうかというより、一連の製造プロセス全体がハラルに違反しないかどうかというのが重要になります。

例えば鶏であれば…

  • ハラルの飼料を食べて育った鶏であり
  • 宗教的に正しい方法で、ムスリムが屠殺し(※搬送などは異教徒でもOK)
  • ハラルに違反するもの、例えば豚などの近くで保管されていないこと

が必要になります。

なんとなくややこしいイメージかもしれませんが、要するに製品にアレルギー表示をするようなものです。

 

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成田空港にあるカレーレストラン「La Toque」店頭の食品サンプル。

カレー、カレーうどん、サラダなどのメニューが並んでいますが、

具を根菜・海老・鶏肉などに絞った“ハラル”レストランです。

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ステップ2:取得することのメリットは何か

まず消費者にとってのメリットから説明すると、

まずはもちろん、ムスリムの消費者にとっては、安心して購買できるということ。

世俗化が進んだ地域であればそうでもないですが、中東はもちろん、中国や東南アジアのイスラム教徒はかなり厳格な家庭も多く、ハラルマークの付いた食品・化粧品・薬品以外は避けられる傾向にあります。

 

ハラル認証は宗教的な意味はもちろんですが、「製品が高品質であり、安全性が高く、健康的なものである」ことを厳格な認定機関が保証するものになるので、イスラム教徒以外の消費者にとっても安心して摂取できるものとして売り出すことができます。

日本でいえばペットボトルのお茶にトクホ(特定保健用食品)のマークが付いているようなものですね。

 

次に企業側にとってのメリットを説明すると、

ハラル認証を得た商品には上記のイメージが付くのでブランド力の向上につながる他、ムスリム市場を獲得する上で必須の認証を得ることで、幅広いマーケットをターゲットとして展開することができることになります。

 

そんなハラルですが、実際に取得するとなるとどういった手順になるのでしょうか?

 

ステップ3:実際にハラル認証を取得するには

ハラル取得の要件

ハラルを取得する上で満たすべき要件はいくつかあり、

  • 社内の組織や体制に関する規定
  • 工場などの施設や食材、衛生に関する規定
  • 上記2項目を管理維持するために必要な経営資源を投入すること

が求められています。

社内の組織や体制に関する規定については、組織内でのムスリムのハラル管理者の任命、もしくはムスリムで構成される委員会の設置です。

工場などの施設や食材、衛生に関する規定については、宗教的な理由のほかに商品の品質保全という意味もあり、具体的な遵守事項が挙げられています。

具体的には以下の通りです。

<製造施設について>

  1. 施設のレイアウトは、作業中・作業前後において、適切なプロセスフロー、適切な 作業員の動き、良好な衛生状態、安全な作業(これらには、害虫の侵入や二次汚染 の防止を含む)を確保するように定めること
  2. 原料の受け入れから完成品までのプロセスフロー全体において、二次汚染を防止すること
  3. 施設は、清掃や食品衛生上の監督の便宜を考えて設計すること
  4. 適切な衛生設備を設置し、維持すること
  5. 搬入・搬出施設は、腐りやすい食品を適切に(迅速に)運搬できるように設計すること。たとえば、ホテルのキッチンの構造や配送スケジュールを工夫すること
  6. 害虫の侵入を防止し、害虫の繁殖場所とならないように、施設を適切に修理し、良好な状態に保つこと
  7. 人および機器を経由した二次汚染を防止するために、施設は、養豚場または豚の処理施設から十分に離すこと
  8. 食肉の処理施設や加工施設は、ハラルの食肉処理・加工専用とすること
  9. 食肉の骨抜き、切断、包装、貯蔵等の工程は食肉処理(屠殺)と同じ施設、または、所轄官署が承認した本規格に適合する施設で行うこと
  10. ペット、その他の動物の施設への立ち入りは禁止すること

<製造機器について>

製造・流通・提供に使用される機器類も、“洗浄しやすいように設計されたものであり、イスラム法で禁止される素材で製作されたものではなく、機器はハラル食品専用とすること”が定められています。

なお、加工の際に使用する上記もハラル食品専用である必要があるのには注意が必要です。

ちなみにハラル用の生産ラインや食器を新規に揃えなければいけないかというとそうではなく、儀礼的洗浄を行うことによってハラル用に転用すること(※1回のみ)もできます。

<食材について>

基本的には有毒なもの、健康を害するもの、中毒性のあるもの以外はハラル(許可対象)とされていますが、

意外なものに豚由来の成分が含まれているなどするため、厳重な確認が必要になります。

アルコールだからダメというわけでなく、消毒用の工業用エタノールの使用はOK、ということもあります。

また、食肉の場合屠殺の方法に厳重な決まりが定められています。

 

規定についてはここに書ききれないのですが、そもそも細かい規則については国や宗派で異なる場合もあるので、この記事内で「ハラルの規定はこうです」と断言するのは避けたいと思います。

概要を知った上で、取得しようとしているハラル制度について知って頂ければ幸いです。

 

ハラル認証取得の手続き

ハラル認証の取得には様々な国や団体ごとに手続きが異なりますが、今回はかなり厳格であるとされるマレーシアのハラル認証取得を例に挙げたいと思います。

 

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ひとくちに“ハラル認証”といっても国ごとに様々な団体が認証を発行しています。

マレーシアのハラルのように、厳格であるという評価のあるハラル認証であれば、国外の多くの国でも通用します。

ハードルは少し高くなりますが、将来他国に展開する際にいちいち取得するよりも、

難しいものを最初に取ってしまうほうが良い場合もあるかもしれません。

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手続きの概略としては、

  • 企業の申請
  • 審査(宗教審査・技術審査・現地監査)
  • 審査報告書に基づく評議
  • ハラル認証

となります。

 

申請書は食品製造工場用、レストラン用、食肉処理場用、化粧品用、流通用に分かれていて、

そこに細かく記入していくことになります。

 

下記は申請書の一部(日本語版)を抜粋したものになります。

実際は他に色々記入するものもあるのですが、おおむねの必要条項を読み取って頂ければ幸いです。

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全ての原材料がハラルであることを証明しなければならないので、食肉などの材料については納入者のハラル認証書を確認する必要がある他、納入者からの製造のフローチャートが必要になることもあります。

ハラル認証については取得したあとも後述のとおり、官庁による監視が続けられ、2年ごとに更新手続きをして現地監査を受ける必要があります。

 

申請にかかる費用・日数

マレーシアの内国法人か、外国法人かによって変わります。

外国法人の場合

登録費用は1申請あたり100米ドル、

認証費用は1申請1年あたり1000米ドル(2年間になるので2000米ドル)

が基本的な料金になります。

加えて現地監査日として、実費である交通費・宿泊費が掛かりますが、数社でまとめて受けることでこのコストは抑えることもできます。

 

内国法人の場合、

認証費用は1申請1年あたり下記の値段になっています。

 

食品企業・食品処理施設

従業員数~50人の小規模企業:2640円

従業員~150人の中小規模企業:10560円

 

レストラン:2640円

ホテルの食事施設:2640円

審査にかかる日数は内国企業で1ヶ月程度、外国企業であれば3~6ヶ月程度になります。

 

ここまでで申請書のおおまかな内容と、申請費用について触れましたが、

これだけでしたらそう難しいものではないと思います。

 

マレーシアのハラル取得がどう厳格なのかというと、取得の際の審査およびこの監視に関する部分になります。

この審査に関しては様々な宗教的見地から検討されるものなので、ここに書ききれるものではありません…

あまり「宗教に則った生活」というものをしていない我々日本人は勿論、ムスリムの一般人ですら白黒つけがたいものもあります。

 

現状、時間や費用などを検討した上で一番の方法は、専門のハラル取得支援団体/業者の手を借りることです。

 

ステップ4:申請を外注する場合はどこに頼むべきか

諸々の審査に関しては外注する方法もあります。

国内企業であれば、マレーシアハラルコーポレーション

http://mhalalc.jp/

が専門的に取り扱っており、アドバイスなどを受けることが出来るほか、

 

また、日本ハラール協会より認定を受けた場合、その認証をもってマレーシアへの輸出入が出来ることになります。

http://www.jhalal.com/info/1258.html

 

今回はマレーシアのハラル認証についての記事となりましたが、次回はドバイをターゲットとしたハラル認証の記事となる予定です。

そちらもよろしくお願い致します。

 

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