フィリピン進出:外資規制対象業種が進出するための3つの方法

日系企業の進出数が多いほか、旅行先やオンライン英会話学習などでも馴染み深い国フィリピン。

今回の記事では、フィリピン進出に当ってまず知っておきたい外資規制や進出形態について情報を纏めました。

まずは「自分のビジネスでフィリピンに進出可能なのか」制度的な面から簡単にご確認いただければ幸いです。

最後には「外資規制対象業種が進出するにはどうするのか」といったアドバイスも纏めましたので、そちらもご一読ください。

 

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おおまかな進出難易度(★が多いほど難易度高)

 

製造業の進出難易度:★☆☆☆☆

外資100%での進出が可能です。外国人の土地所有は禁止されているのが懸念点。

 

卸売業の進出難易度:★☆☆☆☆

アジアの中ではかなり緩い規制となっています。外資100%での進出可能。

 

小売業の進出難易度:★★★★☆

外資参入のハードルは非常に高く設定されています。合弁会社・フランチャイズ展開での進出になります。

製造業や卸売業については外資100%での進出が可能なのですが、一億円に近い初期投資が必要となるので、中小企業にとっては現実的ではありません。

小売・飲食業での進出の場合はフランチャイズ形式での進出が主な方法となっています。

 

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業種別、外資規制の現状

フィリピンの外資規制についてはネガティブリストが公開されており、ネガティブリストABと分けられています。

ネガティブリストA

外国人による投資・所有が憲法および法律により禁止・制限されている業種

ネガティブリストB

安全保障、防衛、公衆衛生および公序良俗に対する脅威、中小企業の保護を理由として、

外国人による投資・所有が制限される業種(外国資本による出資比率を40%以下に制限)。

この2つのネガティブリストから、フィリピン進出を検討することの多い業種を抜き出してみたのが下記の表になります。

小売業・卸売業など
払込資本金額250万ドル以下の小売業 外資参入不可
払込資本金額20万ドル以下の国内市場向け企業 外資比率40%まで
先端技術を有するか、50人以上を直接雇用し、
払込資本金額10万ドル以下の国内市場向け企業
外資比率40%まで
広告業 外資比率30%まで
内装設計・景観設計 外資比率65%まで
金融分野
ファイナンス会社 外資比率85%まで
投資会社 外資比率85%まで
労働・移住分野
海外でのフィリピン人労働者職業斡旋 外資比率25%まで
国外でのフィリピン人労働者職業斡旋 外資比率25%まで
教育分野
教育機関の所有・設立・運営 外資比率40%まで
保健分野
医師・歯科医・看護師・栄養士・獣医など 外資参入不可
医療技術者・放射線・レントゲン技師 外資参入不可
士業
会計士 外資参入不可
弁護士 外資参入不可
建築士 外資参入不可

代表的な業種、製造業・小売/飲食業・サービス業・卸売業についてより細かく説明すると以下の通りです。

 

製造業

外資100%での進出が可能です。

外国からの優れた技術を導入できる他、雇用の創出にも繋がるため、製造業の進出は歓迎されます。

フィリピンでは外国人の土地所有が認められていないため、そういった意味では若干リスクのある投資とはなりますが、

多くの日本企業が進出しています。

若年人口比率が高く、将来に渡って豊富な労働力が確保できることと、

英語話者が多いことにより教育などがスムーズに進むことが背景にあるようです。

 

小売業・飲食業

外資単独での進出のハードルが高い分、合弁やフランチャイズでの進出例が多くなっています。

最低資本金250万ドルを出資し、且つ一店舗あたりの資本金が83万ドル以上の場合は外資100%での出資が可能です。

資本金250万ドル以下の場合は外資出資禁止対象となります。

そのほか、下記の項目をすべて満たすことを求められるなどかなり厳しい要件が課されています。

・親会社の純資産が2億ドル以上であること

・世界で5件以上の小売店舗もしくはフランチャイズを展開し、その1店の資本金は2500万ドル以上

・小売業で5年以上の実績を有する

・フィリピンの小売企業の参入を認めている国の国民・法人である

信頼できるパートナーを見つけての合弁会社の設立、あるいはフランチャイズ展開が勧められます。

 

サービス業

上述の規制対象となる雇用斡旋業や広告代理店業の場合は外資規制が掛かりますが、

ネガティブリストにない業種であれば、資本金20万ドルの最低資本金の条件(後述)をクリアすれば、外資100%での進出が可能です。

卸売業

外資100%での進出が可能です。

具体的には、輸出入業が廃止100%での出資が可能。

国内販売行は原則として外資の出資比率40%までと制限されていますが、払込資本金20万ドル(約2000万円)以上であれば外資100%での進出が可能です。

資本金規制について


最低資本金については国内投資か外国投資かで変わります。

国内投資であれば最低資本金約11万円から設立が可能なのですが、

外国投資の場合、土地建物を除く投資額合計が約9,000万円、

資本金は2,250万円が必要となっており、

中小企業、特に小売業やサービス業の進出は困難となっています。

 

ただ、先端技術を有する企業や、50人以上を直接雇用する会社であれば資本金は1,100万円程度となり、

比較的ハードルは下がります。

 

土地取得規制について

外国企業および外国人による土地所有は認められていません。

多少リスクがありますが、貸与を受けるという形になります。

フィリピン人、およびフィリピン人資本60%以上の企業であれば土地取得は認められるので、どうしても所有したい場合は合弁会社を組むのが現実的になるでしょう。

 

外国人の就業規制について


外国人の就労についてはビザを受給することが義務付けられており、

6ヶ月以上の就労の場合は労働雇用省発行の外国人雇用許可

6カ月以下の就労の場合は入国管理局発行の特別就労許可

を取得する必要があります。

外国人の労働について、特に経験(就労予定の職務の経験◯年以上を有すること、など)や、学歴などは定義されていません。

また、外国人1人あたりフィリピン人◯人の雇用を義務付ける法律などもないので、

制度上では外国人のみの会社を設立することも可能です。

 

外資規制の対象業種が進出するなら

合弁会社設立

現地企業が51%を取得した時点で「その国の企業」と見なされる場合が大半のため、法律的な部分から土地取得まで諸々の優遇を受けることができるというメリットがあるものの、ただ、基本的には現地企業が51%以上の議決権を持つことになるので、リスクの要因となりえます。

これを避けるために行われている方法には、例えばこんなものがあります。

 

◇現地側の1株あたりの議決権を日本側より低くする

あくまで双方同意の上でという話ですが、フィリピン人/企業向けには議決権のない優先株を発行することによって、実質的に外資企業とする方法です。

以前はよく行われていた方法ですが、フィリピン政府の方針として規制されるようになってきたので、避けたほうが良いでしょう。

 

◇株主総会の成立条件を変える

出席株主の総持ち株数を52%以上とすることで、そもそも株主総会が現地出資者単独では成り立たないようにする方法です。

日本企業の中国進出の際にもよく見られましたが、外資100%出資での会社設立が出来ない場合や、土地取得のため、といった事情で合弁会社を設立する場合があります。

 

ランチャイズ展開

フランチャイズの権利を販売して拡げる方法です。

経営しているのは現地企業になるので、外資規制に引っかかることはありません。

特に飲食業などであれば、フィリピンではこの形態で進出する企業が多くなっています。

今後も規制緩和が無いようであれば、将来的にもフランチャイズ出店はメインになっていくことが考えられます。

 

ASEANの他国を狙う

フィリピンはASEANの他国と比較すると、製造業以外の外資規制については厳しめの立場を取っている国になります。

上記合弁会社やフランチャイズで進出する方法もあるのですが、外資51%以上での進出を狙うのであれば他国に目を向けてみるというのも良いかもしれません。

有力な候補としては、これから発展しようとする国は外資を呼びこむため規制緩和を進める傾向があるので、

ベトナム・カンボジア・ミャンマーなどが候補に上がります。

 

他国の外資規制についてはこちらも御覧ください。

ミャンマー

インドネシア

タイ

カンボジア

 

外資規制にひっかかる事業、ひっかからない事業、それぞれが次に起こせる行動とは

合弁会社設立のためのパートナー探しはコンサルに相談するのが吉

外資規制の対象となった場合、合弁会社の設立を狙うのが良いということを先に書きましたが、

合弁会社設立に当ってまず必要なのはパートナー。

人脈を作る場は色々ありますが、ある程度しっかりした機関などに紹介を依頼するというのも一つの手段です。

現地の商工会議所や、進出支援企業などがその相談先となり得ます。

 

フィリピンにある商工会議所ですと、フィリピン日本人商工会議所が挙げられます。

http://www.jccipi.com.ph/

 

進出支援企業としては、一社一社探すのも良いですが、出島などでいろいろな企業を比較してみるのも良いでしょう。

https://www.digima-japan.com

 

ここまで読んで頂き、フィリピンへの進出を検討されている方はご自身の事業が制度的に進出可能そうか不可能そうか、

概ね知って頂けたかと思います。

ただ、もし「自分の事業でフィリピン進出は難しいのかな…」と思った場合でも、フィリピン進出の専門家の方などに相談してみると、

意外な方法で進出が可能だったりする場合があります。

ご自身だけで悩まず、まずはJETRO等の機関にご相談いただくことをおすすめします。

今現在進出可能かだけでなく、今後可能になりそうかどうかなど、広い目で検討することが重要です。

 

※本記事中の情報は2016年1月時点でのものとなります。

アジア関連の情報については頻繁に変化することが考えられますので、最新の情報についてはJETROなどでご確認下さいますようお願い致します。

また、ご不明点などございましたら当財団でもお問合わせは受け付けておりますので、よろしくお願い致します。

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